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高齢者の杖の正しい使い方|握り方・歩き方・注意点を解説

杖を使い始めたばかりで、「杖はどちらの手で持てばいいの?」「足と杖を出す順番はどうすればいいの?」と不安を感じている方は少なくありません。

正しく使えていないと、転倒リスクが高まったり、手や体に余計な負担がかかったりすることがあります。

この記事では、杖の握り方・歩き方の基本から、階段や屋外などの場面別の注意点、日常のメンテナンスまでをわかりやすく解説します。

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高齢者が杖を使う際の基本的な握り方

杖を安全に使うためには、まず「どちらの手で持つか」「どのように握るか」を確認することが大切です。

握り方が合っていないと、体重をうまく支えられず、歩くときのふらつきにつながることがあります。特にT字杖は、グリップ全体に重心をかけるように握ることで、安定して使いやすくなります。

杖を持つ手の決め方

杖は、痛みや麻痺のある足と反対側の手で持つのが基本です。

人は歩くとき、自然と右手と左足、左手と右足を同時に前に出しています。痛みや麻痺のある足を踏み出すタイミングで、反対側の杖に体重を乗せることで、その足への負担を軽減しやすくなります。

たとえば右足に痛みがある場合は、左手に杖を持ちます。「利き手の方が安定する」と感じて、つい利き手で持ちたくなりますが、もしその手が痛みや麻痺のある足と同じ側の手になる場合は正しくありません。ご自身の足の状態を確認してから、杖を持つ手を決めてください。

痛みや麻痺のない方が杖を転倒予防として使う場合は、利き手側で持つと扱いやすくなります。どちらの手に持てばよいか分からない場合は、かかりつけの医師やリハビリ担当者に相談してみてください。

グリップの正しい握り方と肘の角度

グリップは、手のひら全体で支柱の中心に重心がかかるように握ることが大切です。グリップの先端だけをつまむような握り方では、杖が斜めになって滑りやすくなります。

T字杖の握り方には主に2通りあります。一つは、人差し指と中指でシャフト(支柱の部分)を挟み込むようにして握る方法です。もう一つは、人差し指をシャフトに添わせるようにして握る方法で、杖の向きを細かく調整しやすくなります。どちらの場合も、グリップの長い方を体側に向けて握ると、手のひらで体重を支えやすくなり、安定感が増します。前後逆に持つと杖が傾いて不安定になるため、向きも確認してください。

肘の角度は、軽く曲げた状態が目安です。一般的には30〜40度ほど曲がる高さに調整すると、腕に力を入れやすく、体重を支えやすくなります。杖が高すぎる、または低すぎる場合は、姿勢が崩れやすいため注意が必要です。

高齢者が杖を使う際の基本的な歩き方

杖を使って平地を歩くときの方法は、主に「3動作歩行」と「2動作歩行」の2種類があります。体の状態に合わせて、ご自身のペースで歩き方を選ぶことが大切です。

どちらの歩き方でも、歩幅を広げすぎず、杖を体から遠くに出しすぎないことがポイントです。

3動作歩行の手順と適した場面

3動作歩行は、杖に慣れていない方や、足に痛みがある方に適した歩き方です。1つずつ動作を分けるため、ゆっくり確認しながら歩けます。

3動作歩行の手順

  1. 杖を前に出す
  2. 痛みや麻痺がある足を前に出す
  3. 元気な足を前に出す

これを1セットとして繰り返します。杖は地面に対して垂直になるよう、足先の斜め前15cmほどに置くと安定しやすくなります。足を杖より前に出しすぎると体が不安定になりやすいため、杖を大きく追い越さないように意識してください。

2動作歩行の手順と適した場面

2動作歩行は、3動作歩行に慣れた方や、足に大きな痛みがなく歩行が安定してきた方に向いた歩き方です。動作の数が減る分、リズムよく歩けるのが特徴です。

2動作歩行の手順

  1. 杖と痛みや麻痺のある足を同時に前に出す
  2. 反対側の元気な足を揃える

これを1セットとして繰り返して前に進みます。テンポよく歩ける一方、同時に動作を行うため、バランスが崩れやすくなります。急がず、ゆっくりと進むことを心がけてください。

なお、3動作歩行から2動作歩行への移行は、体の状態に合わせて無理なく進めることが大切です。

【場面別】杖を使う際の注意点

杖は平らな場所だけでなく、玄関、廊下、坂道、階段など、さまざまな場面で使います。それぞれの環境で転倒しやすいポイントが異なるため、場面ごとの注意点を知っておくことが大切です。

特に高齢者の場合は、床のわずかな段差や濡れた場所でもバランスを崩すことがあります。歩行環境を整え、無理のない歩き方を意識してください。

また、適した杖の使い方は、体の状態や住まいの環境によって人それぞれ異なります。不安がある場合は、医師やケアマネジャー、福祉用具専門相談員に相談してください。

屋内での注意点

屋内では、玄関マットの段差、狭い廊下、浴室前の濡れた床などに注意が必要です。普段歩き慣れている場所でも、杖先が引っかかったり、足元が滑ったりすることがあります。

玄関マットやカーペットは、端がめくれていない状態を保つようにします。可能であれば、つまずきやすい敷物は外す、滑り止めを使うなどの対策を行うと安心です。

杖を置くときは、倒れないようにする工夫も大切です。壁に立てかけるだけでは倒れやすいため、杖ホルダーやクリップタイプのグッズを使う、横にして通路の端に置くなど、歩行の妨げにならない場所を選んでください。

屋外での注意点

屋外では、坂道、砂利道、雨の日の路面に注意が必要です。屋内よりも地面の状態が変わりやすく、杖先が滑ったり、沈み込んだりすることがあります。

坂道では歩幅を小さくし、急がずに進むのがポイントです。下り坂では体が前に流れやすいため、杖を少し前につき、体を支えながら一歩ずつ進みます。

雨の日は、マンホール、タイル、白線の上などが滑りやすくなります。できるだけ避けて歩き、杖先ゴムがすり減っていないかを事前に確認してください。外出に不安がある日は、無理をせず予定を調整することも大切です。

段差・階段での注意点

階段は、杖を使う場面のなかでも特に転倒リスクが高い場所です。一段ごとに足元の高さが変わるため、階段では踏み外しやつまずきが起こりやすく、平地よりもバランスを崩しやすくなります。

転倒のリスクを軽減するためには、杖を正しく使用することが重要です。階段で杖を使用する際の基本として、杖は上り・下りともに、痛みや麻痺のある足と反対側の手で持ちます。ただし、足と杖を出す順番は上りと下りで異なるため、正しい順番を覚えておくことで、転倒リスクを減らすことができます。

上る手順

  1. 杖を上の段に置く
  2. 元気な足を上の段に出す
  3. 痛みや麻痺のある足を同じ段に揃える

下りる手順

  1. 杖を下の段に置く
  2. 痛みや麻痺のある足を下の段に出す
  3. 元気な足を同じ段に揃える

どちらも「一段ごとに両足を揃えてから次へ進む」を徹底することで、つまずきのリスクを減らすことができます。焦らずゆっくりと進んでください。

なお、手すりを使う場合は、元気な足側の手で手すりを持ち、杖は痛みや麻痺のある足側の手に持ち替えてください。
持つものが変わるだけで、足を出す順番は同じです。

杖の日常的なメンテナンスと点検方法

正しい使い方と同じくらい重要なのが、日々のメンテナンスです。部品の劣化に気づかないまま使い続けると、突然の滑りや杖の破損につながり、転倒リスクが高まります。定期的な点検を習慣化することが大切です。

杖先ゴムの点検と交換の目安

杖先ゴムは、地面との滑り止めとしてもっとも重要な消耗部品です。毎日屋外で使用する場合は3〜6か月、室内中心の使用でも半年〜1年半を目安に状態を確認してください。

点検方法は、杖をひっくり返して接地面の溝の深さを確認することです。溝が浅くなっていたり、ゴムにひび割れが見られたりする場合は交換のサインです。「まだ使えるかな」と迷ったときは、早めの交換をおすすめします。

交換用の杖先ゴムは、福祉用具の販売店やインターネットで購入できます。杖ごと買い替えるよりも安価で、多くの製品は手で取り外せますが、製品によって取り外し方が異なる場合があります。購入の際はシャフト径に合ったサイズを選んでください。

グリップや固定部の点検ポイント

グリップは手が直接触れる部分のため、劣化に気づきやすい箇所です。ベタつきが出てきたり、表面にひび割れが目立つようになったりしたら、早めの交換を検討してください。グリップが滑りやすくなると、安全な歩行の妨げになります。なお、製品によっては交換できないものもあります。

伸縮タイプの杖は、月に1回程度、長さ調節部分の緩みがないか点検してください。調整ボタンが穴からしっかり飛び出して固定されているか、ロックナット(調整止めネジ)に緩みがないかを横から確認します。「カシャ、カシャ」と音がする場合は、ネジの緩みなど異常のサインです。あわせて、支柱に曲がりやへこみがないかも目視で確認してください。ガタつきや支柱の損傷をそのままにすると、歩行中に突然長さが変わったり、体重をかけた際に折れたりする危険があります。

また、杖をつくたびに手や手首に痛みや疲労を感じるようになった場合は、クッション性の高いグリップへの交換や、市販のグリップカバーの使用が有効です。ご自身の状態に合ったグリップを選ぶことで、毎日の歩行が楽になります。

杖や介護に関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ

杖を安心して使うためには、正しい握り方や歩き方を知ることが大切です。杖を持つ手は痛みや麻痺のある足の反対側にし、肘が自然に曲がる高さで、グリップ全体をしっかり握ることが基本です。

歩き方は、体の状態に合わせて3動作歩行や2動作歩行を選びます。階段や屋外では転倒リスクが高まるため、歩幅を小さくし、一歩ずつ確認しながら進むことが大切です。

また、杖先ゴムやグリップ、固定部の点検も欠かせません。杖の選び方や使い方に不安がある場合は、無理に自己判断せず、専門スタッフへ相談することをおすすめします。

「自分の握り方や歩き方が合っているか不安」「体の状態に合った使い方を知りたい」という方は、ヤガミホームヘルスセンターへお気軽にご相談ください。福祉用具専門相談員が、使われる方の体の状況や生活環境に合わせて、安全な杖の使い方を丁寧にサポートいたします。

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