医療用弾性ストッキングとは?

医療用弾性ストッキングとは、下肢のむくみ(浮腫)やだるさの軽減、静脈還流の促進を目的として設計された医療機器を指します。弾力性のある特殊なソックスで、足元から太ももにかけて徐々に圧力をかけることで、血液やリンパの流れをサポートします。
特に、下肢静脈瘤やリンパ浮腫など、血管やリンパに関する疾病の予防・症状緩和に医療用弾性ストッキングの着用は有効です。また、太ももの内側がつったり、足の疲れを感じやすかったりする人は早い段階でその効果を感じやすいとされています。
医療用弾性ストッキングと市販の着圧ソックスの違いは?

医療用弾性ストッキングと市販されている一般的な着圧ソックスとでは、大きな違いがあります。
市販の着圧ソックスやストッキングは、ファッション性や日常的なむくみ対策を目的としているものが多く、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかける設計になっていない場合があります。部分的に圧力がかかるものが多く、治療に必要な圧力が足りません。
一方、医療用弾性ストッキングは「医療機器」に分類され、市販品に比べると高く安定した圧力がかかるようになっています。また、耐久性に優れており、足首から太ももにかけて圧力の強さも計算されて作られています。
こうした設計により、下肢の筋ポンプ機能をサポートし、静脈の血管径を縮小させて逆流を抑制し、血行を促進する効果が期待できます。これは、医療用ならではの重要な機能です。
医療用弾性ストッキング | 市販されている一般的な 着圧ソックス |
||
---|---|---|---|
目的 | 下肢静脈瘤の予防・治療 リンパ浮腫の治療 血栓予防 など |
日常的なむくみ対策 長時間の歩行や立ち仕事での疲労軽減 |
|
圧迫力 | 強圧 | 40mmHg以上 53ヘクトパスカル |
ー |
中圧 | 30~39mmHg 40ヘクトパスカル |
22.5mmHg 30ヘクトパスカル 15mmHg 20ヘクトパスカル 7.5mmHg 10ヘクトパスカル |
|
弱圧 | 20~29mmHg 26.6ヘクトパスカル |
医療用弾性ストッキングの適切な効果を得るためには、自分に合うものを選ぶことが肝心です。医療機関でのサイズ調整や、医療従事者による着圧指導を受けることが推奨されています。
なお、ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」では、医療用弾性ストッキングと市販の着圧ソックスの両方を扱っています。必要に応じて医師と相談しながら、ご自身の状態に合わせて選ばれることをおすすめします。
医療用弾性ストッキング
医療用弾性ストッキングの商品は、ヤガミホームヘルスセンターのe.よりそうだん「医療機器 購入希望フォーム」で申請をしていただくとご覧いただけます。
医療用弾性ストッキングの効果
医療用弾性ストッキングは、下肢に滞留しやすい血液やリンパ液を心臓へ押し上げ、流れを良くする効果が期待できます。例えば、静脈の還流障害やリンパ浮腫などがある方々の治療や状態維持のために用いられています。
医療用弾性ストッキングは、足首から太ももにかけて段階的に圧力をかける設計になっており、これにより下肢の筋ポンプ機能をサポートし、静脈の血管径を縮小させて逆流を抑制し、血行を促進します。この段階的な圧力設計と、医療機器としての厳格な基準を満たした素材・構造が、医療用弾性ストッキングならではの重要な機能です。
医療用弾性ストッキングの効果を最大限に引き出すためには、医療機関でのサイズ調整と、医療従事者による適切な着圧指導が必須です。
一方で、市販の着圧ソックスやストッキングは、医療用弾性ストッキングとは異なり、主に日常的なむくみ対策や、ファッション性を目的としています。そのため、圧力設計や効果も異なり、医療用のような治療効果は期待できません。しかしながら、立ち仕事などによる足のむくみやだるさの軽減には役立つ可能性があります。
医療用弾性ストッキングの選び方のポイント

医療用弾性ストッキングは、圧力やサイズ、長さ、つま先の有無などさまざまなタイプがあります。自分に合ったものを選ばないと、効果が得にくくなったり蒸れによって皮膚トラブルを招いたりすることもあるため注意が必要です。
サイズは足首やふくらはぎの長さを測ってから
医療用弾性ストッキングのサイズは、S・M・Lの3つが一般的です。足首回りと、ふくらはぎまわりの長さを測っておき、サイズと照らし合わせて選びましょう。
足首やふくらはぎの太さではなく、足の縦の長さで表示されているものもあります。この場合は、日頃履いている靴の大きさが目安となります。
履き始めはキツく感じてサイズを間違えたと思われるかもしれませんが、サイズがゆるいと本来の力を発揮しません。医療用弾性ストッキングは、使用するうちに徐々に素材は伸びていくため、半年を目安に買い替えると良いでしょう。
つま先の有無は好みで
つま先まであるタイプと、ないタイプの2種類がありますが、効果は変わりません。蒸れが気になる方はつま先のないタイプ、人前で靴を脱ぐ場面が多い方はつま先のあるタイプなど、好みやシチュエーションに応じて選んでみてはいかがでしょうか。
医療用弾性ストッキングの正しい履き方と脱ぎ方の完全ガイド
医療用弾性ストッキングの着用効果を最大限に引き出すためには、正しい履き方と脱ぎ方が重要です。圧迫力があるため、通常の靴下よりも履きにくいと感じることが多いので、正しい方法を覚えておくと安心です。
正しい履き方&脱ぎ方
医療用弾性ストッキングを履く際は、ストッキングを裏返してつま先からゆっくりと履きましょう。かかとの部分をしっかりと合わせるようにして、シワやたるみが生じないように均一に伸ばします。
脱ぐ際は、ストッキングの上部を折り返して、ゆっくりと引き下げていきます。無理に引っ張ってしまうと、ストッキングが破れることもあるため、注意が必要です。
より簡単に着用するための便利商品
着用する際には少し手間がかかる医療用弾性ストッキングをより簡単に着用するための便利な商品をご紹介します。
メディバトラー エクスポートロングハンドル

ハイソックス、ストッキングやスリーブなどの装着時にお使いいただけます。
ハンドル部分が長いため使いやすく、安定感のある形状です。
イージースライド

つま先なしストッキング用の装着用補助具です。
とてもすべりのよい特殊素材を使用しているため、医療用弾性ストッキングの装着が軽々とできるようになります。介護をする方および着用者の肉体的負担を軽減します。
医療用弾性ストッキングのよくある質問
医療用弾性ストッキングは1日何時間履いたらいいですか?
医療用弾性ストッキングは、症状の緩和や予防のために使う場合、24時間着用する必要はありません。日中の活動時間帯に着用すると、立ちっぱなしや座りっぱなしによる脚のむくみやだるさの軽減にも役立ちます。
医療用弾性ストッキングは毎日履くものですか?
医療用弾性ストッキングは、下肢の静脈還流の促進やむくみ・だるさ等の軽減に役立つ医療機器です。継続的に使用することで、こうした症状の進行予防や緩和につながると期待されています。使用頻度や着用時間は、個々の症状によって異なるため、医師の指示に従いましょう。
寝る時も履いていても大丈夫?
医療用弾性ストッキングは、立って活動しているときの下肢の静脈還流をサポートするために使用されます。寝る際は横になるため、重力による下肢の静脈うっ滞が軽減されることもあり、基本的に着用する必要はありません。むしろ、就寝中の過度な圧迫は血行不良を招く原因にもなるため、脱いで休むようにしましょう。
医療従事者の指示がなくても購入できる製品はありますか?
一般的に、ドラッグストアやオンラインショップ等は、軽度のむくみ対策として利用できる着圧ソックス・着圧ストッキングを購入することができます。これらは医師の指示がなくても購入可能です。しかし、医療機器である医療用弾性ストッキングとは目的や効果が異なることから、ご自身の症状やリスクに合わせて選ぶことが重要です。特に、疾病がある方や、医療用弾性ストッキングの着用を検討している場合は、医療従事者に相談しながら使用することをおすすめします。
医療用弾性ストッキング・着圧ソックスなど
医療用弾性ストッキングや着圧ソックス選びでお困りの方は、ヤガミホームヘルスセンターへご相談ください。
医療用弾性ストッキングの商品は、ヤガミホームヘルスセンターのe.よりそうだん「医療機器 購入希望フォーム」で申請をしていただくとご覧いただけます。
ご相談窓口
介護用品・医療用品 のオンラインショップ ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」
詳しくはこちら
ご連絡先電話番号 (通話料無料) |
0800-555-7772 |
受付時間 | 月〜金曜 10:00〜17:00 |
休業日 | 土曜・日曜・祝日・年末年始 |
オンラインショップメール | info@e-yorisoudan.com |
【参考】
・さいたま静脈瘤クリニック