加齢とともに皮膚は乾燥しやすくなり、紫外線の影響を受けやすくなります。
そのため、シミやしわだけでなく、皮膚がんのリスクも高まり、高齢者にとって紫外線対策は非常に重要です。
この記事では、高齢者の肌が紫外線に弱い理由から、紫外線の基本知識、さらに肌を守るためのUVケアアイテム(衣類、帽子、メガネ、日焼け止め)の選び方と効果的な使い方を詳しく解説します。
高齢者やその家族が安心して紫外線が多い時期を過ごし、健やかな肌を保つための一助となれば幸いです。
高齢者の肌が紫外線に弱い理由

年齢を重ねるにつれて、肌は徐々に変化し、紫外線に対する抵抗力が低下していきます。
加齢による肌の変化を理解し、適切な紫外線対策を行うことで、健やかな肌を保つことができるでしょう。
加齢による皮膚の変化と紫外線の影響
年齢とともに皮膚の厚みは薄くなり、水分保持能力も低下していきます。真皮と表皮が薄くなることで皮膚のバリア機能が損なわれ、紫外線による炎症や乾燥が起こりやすくなります。また、汗腺や血管の数も減少するため、暑さに対する反応力が低下し、紫外線から体を守る力も弱くなります。
さらに、皮脂の分泌減少により肌が乾燥しやすくなり、かゆみや炎症といった肌トラブルが生じやすい状態になっています。
シミ・しわ・皮膚がんリスクの高まり
慢性的に紫外線にさらされることにより生じる光老化は、皮膚の細かなしわや深いしわ、不規則な色素沈着を引き起こします。紫外線は細胞のDNAに傷をつけ、長年にわたる蓄積により突然変異が起こり、皮膚がんのリスクを高めます。
日本における皮膚がんの発症率は、50歳代から上昇し始め、特に70歳代以降に急激に高まります。特に高齢者は、若い頃から受けた紫外線ダメージが蓄積されているため、これ以上の光老化を防ぐためにも継続的な対策が不可欠です。
※参考)国立研究開発法人国立がん研究センター│がん種別統計情報 皮膚:https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/13_skin.html
紫外線を避けるための基本知識

紫外線は年間を通じて降り注いでいますが、季節や時間帯によってその強さは大きく変わります。
特に春から秋にかけては紫外線量が増加し、午前10時から午後2時頃までの時間帯は最も注意が必要です。
室内にいても窓ガラスを通過するUV-A※の影響を受けるため、日常生活のあらゆる場面で紫外線対策を意識する必要があります。散歩や買い物といった近所への外出でも、継続的に紫外線を浴びることになるため油断は禁物です。
※UV-Aとは:紫外線の中でも最も波長が長い(315~400nm)紫外線。太陽から届く紫外線の約9割を占めている。
紫外線が強くなる時間帯と季節
紫外線量は4月から9月にかけてピークを迎え、年間の約70~80%がこの期間に集中します。太陽が最も高く昇る正午頃が最強となり、午前10時から午後2時までは「非常に強い」レベルに達するため特別な注意が必要です。
この時間帯の外出時には十分な紫外線対策が欠かせません。冬でも晴れていれば、夏のピーク時の4割程度の紫外線があるため、季節を問わず日々の対策が重要です。
季節別の紫外線対策
■春の紫外線対策
3月頃から紫外線量が急増し始める季節です。まだ日差しが弱く感じられるため油断しがちですが、冬を越えて明るくなった肌は紫外線の影響を受けやすい状態になっています。これは、冬の間に紫外線から肌を守るメラニンが減少し、肌が白くなることで防御力が低下するためです。加齢により肌のバリア機能が低下している高齢者は特に注意が必要です。散歩や買い物などの日常的な外出でも、帽子や日傘の使用を心がけましょう。
■夏の紫外線対策
一年で最も紫外線量が多くなる季節です。室内にいても窓ガラスを通過するUV-Aの影響を受けるため、屋内でも対策が必要です。高齢者は汗腺機能が低下していることがあるため、通気性の良い長袖や帽子で物理的に紫外線をカットし、体温調節にも配慮した対策を取りましょう。短時間の外出でも日焼け止めの使用など紫外線対策を行いましょう。
■秋の紫外線対策
9月までは夏と同程度の紫外線量があるため、引き続き注意が必要です。夏の紫外線ダメージで肌が疲れ気味になり、湿度低下による乾燥も始まります。加齢により回復力が低下しているため、しっかりとした保湿ケアで肌を労わりながら、行楽シーズンの外出時には十分な紫外線対策を継続しましょう。
■冬の紫外線対策
紫外線量は少なくなりますが、UV-Aは季節変動が少ないため油断は禁物です。高齢者は肌の水分保持力が低下しているため、乾燥対策が特に重要になります。十分な保湿ケアと軽めの日焼け止めで、肌のバリア機能を維持しましょう。雪国にお住まいの方は、雪面からの反射による強い紫外線にもご注意ください。
高齢者が外出時に気をつけたいポイント
外出する際は、紫外線が最も強くなる午前10時から午後2時の時間帯をできるだけ避けることが重要です。朝9時までや午後3時以降であれば、比較的紫外線量が少なく外出しやすくなります。近所への散歩や買い物といった短時間の外出でも、帽子や日傘の使用、適切な日焼け止めの塗布を心がけましょう。
曇りの日でも薄い雲なら8割の紫外線が透過するため、天候に関係なく基本的な対策を継続することが肌を守るポイントです。
高齢者に適した紫外線対策アイテムの選び方

衣類や帽子、メガネなどのアイテムを上手に活用した総合的な紫外線対策が高齢者にとっては重要になります。
肌への負担を最小限に抑えながら、効果的に紫外線から身を守るアイテムの選び方をご紹介します。
肌を守る衣類・帽子・メガネの特徴
紫外線対策には、UVカット加工が施された衣類の着用が効果的です。また、帽子はつばの広いタイプを選び、顔や首筋まで覆えるものが理想的でしょう。
UVカット機能付きのメガネは、目の周りの薄い皮膚を守るだけでなく、白内障をはじめとする眼の疾患へのリスクを軽減する効果も期待できます。
衣類
紫外線対策の基本は、長袖・長ズボンを着用して肌の露出をできるだけ少なくすることです。その上で、衣類が持つ紫外線防止効果を示す世界基準の指標「UPF(Ultraviolet Protection Factor)」を確認すると良いでしょう。
UPFは、素肌の状態で20分日焼けする紫外線量を基準に、「その衣類を着用することで何倍の時間を防げるか」を示した数値です。例えば、UPF50の衣類なら、素肌の50倍の時間(20分×50=約16時間)紫外線を浴びないと日焼けしない、という計算になります。
帽子
帽子は、顔や首筋を紫外線から守る重要なアイテムです。選ぶ際は、つばの広さが7cm以上あるものが、顔全体に影を作り紫外線防止に有効とされています。
素材については、麦わら帽子と布製の帽子でどちらが良いか迷うかもしれませんが、重要なのは「素材の編み目や織り目の詰まり具合」です。
布製の帽子は一般的に目が詰まっており、UVカット加工やUPF値が表示されている製品も多いため、機能性を重視する場合におすすめです。
一方、麦わら帽子は通気性に優れていますが、編み目が粗いと隙間から紫外線が透過することがあります。デザインで選ぶ際は、できるだけ編み目が細かいものを選びましょう。
メガネ
目から入る紫外線は、白内障などの眼疾患のリスクを高めるだけでなく、目の周りの薄い皮膚にもダメージを与えます。これらを防ぐために、サングラスやUVカット機能付きのメガネを活用しましょう。
選ぶ際のポイントは、レンズの色の濃さではなく、紫外線カット機能の数値です。紫外線カット率は「99%以上」と表示されているものを選びましょう。紫外線透過率で表示されている場合は「1.0%以下」が良いとされています。これは、紫外線を99%以上カットすることと同じ意味です。また、「UV400」と表示のあるレンズは、地上に届くほぼ100%の紫外線(400nmまでの波長)をカットできることを示しており、選ぶ際の大きな目安になります。
レンズの色が濃すぎると、瞳孔が開いて逆に紫外線を多く取り込んでしまう可能性もあるため、使用シーンに合った適切な濃さのレンズを選ぶことが大切です。
アームカバー
アームカバーは、暑い季節やお出かけ時の腕の日焼け防止に便利なアイテムです。手の甲まで覆えるタイプを選ぶと、指先まで紫外線対策ができます。
選ぶ際は、UVカット機能があることを確認しましょう。紫外線カット率やUPF値が高く表示されているものが理想的です。また、長時間着用することを考慮し、肌に優しい素材で作られているかも重要なポイントです。
素材については、汗を吸っても乾きやすく、風通しの良いものを選ぶと快適に使用できます。腕を締め付けすぎると血行を妨げる可能性があるため、適度な伸縮性があり、肌に負担をかけずにやさしくフィットするものを選ぶとよいでしょう。
肌にやさしいアームカバー
腕を締めつけず、やさしく保護してくれるアームカバーです。高いUVカット性能(UPF50+/UVカット率98%以上)で、肌を紫外線からしっかりブロックします。
丈はショートとロング、色はベージュ、ライトグレー、ブラックからお選びいただけます。


敏感肌向け 日焼け止めの選び方と使い方
高齢者の肌は薄く敏感なため、SPF値やPA値が高すぎると肌への負担が大きくなってしまいます。SPF(Sun Protection Factor)は主に紫外線B波(UV-B)による日焼けを防ぐ効果を示し、数値が大きいほど効果が高くなります。PAは紫外線A波(UV-A)を防ぐ効果を示し、+の数が多いほど防御力が高いことを表しています。そのため、高齢者にはSPF30~50、PA+++程度の日焼け止めが適しており、日常的な紫外線から肌を守りながら刺激を抑えることができます。
無香料・ノンケミカルタイプを選ぶことで、さらに肌への負担を軽減できるでしょう。ノンケミカルタイプとは、肌に刺激を与えやすい成分(紫外線吸収剤)を使わず、天然鉱物由来の成分で紫外線をはね返す日焼け止めのことです。
また、日焼け止めを落とす際の肌への負担も重要なポイントです。クレンジング剤による刺激や、洗顔を複数回行うことによる肌への負担が懸念されます。そのため、石けんや洗顔料で落とせるタイプを選ぶと良いでしょう。
塗る際は適量を手に取り、顔全体に優しく馴染ませ、2~3時間おきに塗り直すことが大切です。
紫外線対策を続けるための生活習慣

高齢者が紫外線対策を効果的に行うためには、日々の習慣として定着させることが重要です。毎朝の身支度時に日焼け止めを塗る、外出前に帽子をかぶるといった行動を決まったタイミングで行うことで、無理なく継続できます。
ご家族からの声かけや一緒に外出する際のサポートも、対策を続けるためのモチベーションとなります。適切な紫外線対策と丁寧なスキンケアを意識し、年齢を重ねても健康な肌を保ち安心して外出を楽しむことができるでしょう。
介護に関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ
高齢者の肌は年齢とともに薄くなり、紫外線の影響を受けやすくなります。適切な日焼け止めの選び方や衣類での対策、そして継続的なケアの習慣化が、健やかな肌を保つために重要です。
お探しの紫外線対策用具がございましたら、ヤガミホームヘルスセンターまでお気軽にお問い合わせください。
紫外線対策で健やかな毎日を
年齢を重ねると肌のバリア機能が低下し、紫外線の影響を受けやすくなります。高齢者が健康な肌を保つためには、日常的な紫外線対策が大切です。
帽子や日焼け止めなど、自分に合ったアイテムを日常生活に取り入れることで、シミやしわの予防につながり、皮膚がんのリスクも減らすことができます。継続して紫外線対策を行うことで、安心して外出を楽しめる毎日へとつながります。
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