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嚥下機能低下に備える介護食|作り方ととろみ剤の活用法

嚥下障害は高齢者を中心に多く見られ、誤嚥や低栄養といった健康リスクを引き起こす可能性があります。嚥下機能が低下した方にとっては「飲み込みやすくする工夫」を取り入れた食事づくりが欠かせません。そのためには、調理の工夫やとろみ調整食品の活用法を知っておくことが重要です。
この記事では、嚥下障害の食事に関する基本知識から、調理やとろみのつけ方、栄養補助食品の選び方までをわかりやすく解説します。日々の介護に役立つポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

嚥下障害の食事で知っておきたい基本知識

嚥下障害とは、飲み込む力が弱まり食べ物や飲み物を安全に食道へ送りこめなくなる状態を指します。加齢や病気による筋力低下などが原因で、誤嚥や誤嚥性肺炎を引き起こすほか、食事量の減少から低栄養に陥る危険もあります。
安全な食事のためには、むせやすい食品を避け、調理でやわらかく、口の中でまとまりやすく工夫しつつ、必要な栄養を確保することが重要です。

高齢者の誤嚥リスク|食べ物が気管に入る危険性

嚥下は、口の中で食べ物をまとめ、喉で気道を反射的に閉じながら食道へ送り込む一連の動き(嚥下反射)によって成り立っています。加齢や疾患でこの嚥下反射や舌・咽頭の筋力が弱まると、気道の閉鎖が間に合わず、食べ物や飲み物が食道ではなく気管へ入りやすくなります。
これが誤嚥であり、少量の混入でも繰り返されると、肺内に細菌が入り誤嚥性肺炎の原因となります。

東京都健康安全研究センターの研究年報「人口動態統計からみた日本における肺炎による死亡について」によると、誤嚥性肺炎による死亡が2030年に男性約77,000人、女性約52,000人へ増加すると予測しており、日常の食事場面で誤嚥を避ける配慮の重要性が裏付けられています。

参考:東京都健康安全研究センター研究年報|人口動態統計からみた日本における肺炎による死亡について(池田 一夫,石川 貴敏)

特に注意が必要な飲み込みにくい食品

嚥下機能が低下すると、硬い・パサつく・ばらける・さらさら流れる・貼り付く性質の食品でむせやすく、食塊(しょっかい:口の中で咀嚼して飲み込みやすくまとまった食べ物のかたまり)が作りにくくなります。
調理では、やわらかさと保水性を高め、全体の密度を均一にし、口の中でまとまりやすくすることが重要です。

食品の特徴具体的な食品例
硬いものれんこん、ごぼう、たこ、いか
パサパサしたものパン、カステラ、高野豆腐
口の中でばらけるもの挽き肉、かまぼこ
さらさらしてむせやすいもの水、お茶、味噌汁、ジュース
口の中に貼り付きやすいもののり、わかめ、葉物野菜

同じ食品でも工夫で安全性は高められます。パンは卵液や牛乳に浸して焼けば保水性が上がり、のど通りが良くなります。挽き肉は卵や片栗粉でまとめてハンバーグや肉団子にするとばらけにくく、汁物や飲料はとろみ調整食品で粘度を与えると流れが緩やかになり、むせを抑えられます。葉物や海藻は細かく刻んだうえで、油やあんで表面をコーティングすると貼り付きが減ります。

低栄養状態を招く負のスパイラル

飲み込みにくさは食事量の減少を招きやすく、エネルギーとたんぱく質が不足して低栄養に陥りがちです。低栄養になると筋力・体力・免疫力が落ち、活動量が低下してさらに食欲も落ちるという悪循環が生じます。
その結果、歩行機能の低下から転倒や骨折のリスクが高まり、感染症にも罹患しやすくなります。

この悪循環を断ち切るには、食形態の調整が重要です。むせやすい食品を避け、やわらかくまとまる調理やとろみ付与で安全性を高め、必要に応じて栄養補助食品で不足分を補います。

継続的な「安全」と「栄養」の両立が、QOL維持につながります。

介護食の作り方│飲み込みやすい食事を作るための調理のポイント

嚥下機能が低下しても、安全に、そしておいしく食事を楽しむためには、調理の工夫が欠かせません。

飲み込みやすい食事の基本条件は「密度が均一」「まとまりやすい」「変形しやすい」「べたつかない」の4つです。食材の選び方や調理法、見た目や味付けを工夫すれば、家庭でも実践しやすくなります。

ポイント1:食材をやわらかくする工夫

飲み込みやすさを高める第一歩は、食材を十分にやわらかくすることです。

煮る・蒸す・茹でるなどの加熱調理で食材の繊維がほぐれ、口の中で崩れやすくなります。圧力鍋を使えば短時間で根菜や肉もやわらかく仕上がり、蒸し器は水分を逃がさずふっくらとした食感を保てます。

また、肉や魚は繊維を断つように隠し包丁を入れると噛み切りやすくなり、野菜は薄切りや小さめに切ることで口の中での処理が容易になります。
このような工夫により、咀嚼や嚥下の負担が軽減されます。

ポイント2:口の中でまとめやすくする工夫

食べ物が口の中でばらばらにならず、一つのまとまりになって食道へ運ばれることが重要です。

パサつきやすい食材には、あんをかけたりマヨネーズやホワイトソースで和えたりすることで適度な水分と粘性が加わり、食塊がまとまりやすくなります。
挽き肉は、散らばりやすいため、卵や片栗粉をつなぎにしてハンバーグや肉団子にすると、飲み込みやすさが向上します。
さらに、油分を適度に加えると食材同士がなめらかにつながり、口当たりが改善されます。

ポイント3:見た目や味付けで食欲を促す工夫

飲み込みやすさだけでなく、食欲を維持するためには見た目と味付けの工夫も大切です。

ミキサー食でも素材ごとに盛り付けて色の違いを残せば、彩り豊かで食欲を刺激します。高齢になると味覚が鈍くなるため、塩分を抑えつつも、だしを効かせて旨味を引き出し、少量でも満足感のある味わいが得られます。

同じ味付けが続くと飽きやすいため、マヨネーズにすりごまや梅肉を混ぜるなど、身近な調味料にひと工夫を加えると変化が生まれ、毎日の食事の楽しみが広がります。

とろみ調整食品の使い方と選び方

飲み物や汁物に適度な粘度を与えると、流れがゆっくりになり、嚥下しやすくなります。

とろみ調整食品は少量で安定した粘度を保てるのが特長で、片栗粉とは違い、唾液中の酵素でゆるみにくい性質があります。

どの液体にどれくらいの粘度が適切かを見極め、自己判断で濃くしすぎないことが大切です。
嚥下機能に不安がある場合は、医師や管理栄養士、言語聴覚士に相談し、個々の目安を確認してから使い始めると安全です。

とろみ調整食品の種類と選び方のポイント

家庭でとろみ調整食品を選ぶ際には、次の点を重視すると失敗が少なくなります。

  • 溶けやすく、ダマになりにくいこと
  • 味やにおいをほとんど変えないこと
  • 温かい飲み物・冷たい飲み物の両方で使いやすいこと

初めてで計量が不安な場合は、1回分が個包装になったスティックタイプが扱いやすく、持ち運びにも便利なため外出先でも手軽にとろみをつけられます。

とろみエール 2.5g×30本

個包装で計量いらず。サッと溶けて味を変えにくく、温かい飲み物にも冷たい飲み物にも幅広く使えます。

つるりんこQuickly

ダマになりにくく、飲み物や料理の風味・色を損なわずに自然な仕上がりが得られるとろみ剤です。透明感のある見た目で、温かいものにも冷たいものにも簡単にとろみをつけることができます。

ダマにならないための上手な使い方

液体をよくかき混ぜながらとろみ調整食品を均一に分散させると、なめらかに仕上がります。
泡立て器やマドラーを使うと混ざりやすく、ミキサー食なら食材と一緒にかき混ぜると均一になりやすいです。とろみが安定するまで数分かかるため、入れてすぐに判断せず、少し置いてから状態を確認してください。

なお、製品ごとの推奨手順には差があります。
たとえば「とろみエール」では一度に加えて素早くかき混ぜる方法が推奨されています。一方で「少しずつ加える」ことを勧める製品もあります。パッケージ表示に従うことが失敗しないコツです。

とろみの濃さ3段階の目安

飲み物や汁物は、薄い・中間・濃いの三段階を目安にすると調整しやすくなります。
スプーンで確かめたときの流れ方を基準に、同じ飲み物でも毎回の状態を確認してください。

とろみの段階スプーンを傾けたときの状態
薄いとろみすっと流れ落ちる
中間のとろみとろとろと流れる
濃いとろみ形状がある程度保たれ、流れにくい

片栗粉は酵素の影響で粘度が落ちやすいのに対し、とろみ調整食品は唾液の影響を受けにくく、食事中も安定したとろみを保ちやすいというメリットがあります。

とろみ調整食品を使う上での注意点

とろみを濃くしすぎると喉に貼り付きやすく、かえって誤嚥の原因になることがあります。使用量は必ず製品表示どおりにし、必要に応じて専門職に確認してください。

すでにとろみをつけた飲み物にとろみ調整食品を直接追加するとダマになりがちです。濃くしたい場合は別容器でやや強めのとろみ液を作り、混ぜ合わせて調整するときれいに仕上がります。

牛乳やオレンジジュースのようにとろみがつきにくい液体は、混ぜた後、少し時間を置いてからもう一度かき混ぜる“二度混ぜ”が効果的です。温度の影響で粘度が変わることもあるため、飲む直前にスプーンで流れ方を確認すると安心です。

高齢者向け栄養補助食品|食事量が少ない時の活用法

嚥下機能の低下や食欲減退などで1日3食だけでは十分な栄養を摂れない場合、栄養補助食品を活用することが有効です。

ドリンクタイプやゼリータイプなど、形状や味の異なる製品が多く販売されており、本人の状態や好みに合わせて選ぶことで無理なく取り入れられます。市販のプリンやアイスクリームといった間食も、栄養成分表示を確認しながら選ぶことで、手軽なカロリーやたんぱく質補給源として活用できます。

日常の食事にこうした補助食品をプラスすることで、低栄養を防ぎ、体力や免疫力の維持につなげることが期待できます。

栄養補助食品の主な種類

栄養補助食品は、食事量が少ないときに不足しがちなエネルギーやたんぱく質を手早く補えるのが利点です。形状によって使い分けると、無理なく継続できます。

形状特徴・使いどころの目安
ドリンクタイプ少量高エネルギー。食後・間食で手軽に摂取。フレーバーが豊富。
ゼリータイプ形が保たれやすく、のど越しが穏やか。誤嚥リスクがある方の栄養補助に。
粉末タイプみそ汁・ヨーグルト・おかずに混ぜて栄養強化。味の変化が少ない。
オイルタイプ1滴あたりのカロリーが高く、少量でエネルギー追加。スープや和え物に。
甘くないタイプ茶碗蒸し風・とうふ風など。甘味が苦手でも続けやすい。

少量で高カロリーを確保したい場面ではドリンクタイプが便利で、食後や間食の“追い栄養”に向いています。ゼリータイプはまとまりがあり流速がゆっくりなため、嚥下機能が低下している方や誤嚥のリスクがある方の栄養補助に使いやすい形です。

料理の味を変えたくないときは、粉末タイプやオイルタイプを普段の献立に混ぜ込むと、風味を大きく変えずに栄養価を底上げできます。甘味が苦手な方には、茶碗蒸しやとうふ風味などの甘くないタイプを選ぶと、食事と一緒に取り入れられます。

栄養補助食品を選ぶ際のポイント

まず目的を明確にすることが大切です。体重減少が気になる場合はエネルギー密度の高い製品、筋力維持を重視するならたんぱく質量(1本あたり/1食あたり)をチェックします。貧血傾向や骨粗鬆症リスクがある場合は、鉄・ビタミンB群・ビタミンD・カルシウムなど強化成分の有無も選ぶ材料になります。

次に、味・形状・摂るタイミングが本人の嗜好や生活リズムに合っているかを確認します。
ドラッグストアや通信販売で入手しやすく、メーカーやフレーバーの選択肢も多いため、数種類をローテーションすると飽きにくく、継続しやすくなります。

購入時は栄養成分表示を必ず確認し、「エネルギー(kcal)」「たんぱく質(g)」「脂質/糖質」「ビタミン・ミネラルの含有量」「1日の摂取目安量」を把握しておきます。
医師・管理栄養士のアドバイスに沿って、食事全体のバランスを考慮して取り入れると効果的です。

介護に関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ

嚥下機能の低下は、誤嚥や低栄養などの健康リスクにつながるため、日常の食事に工夫を取り入れることが大切です。

食材をやわらかく調理する、口の中でまとまりやすい形態に整える、とろみ調整食品で流れを調整する、そして不足分を栄養補助食品で補うといった工夫を組み合わせることで、「安全」と「栄養」を両立した介護食を実現できます。
ただし、嚥下状態や栄養の必要量は人によって異なるため、自己判断せず、専門家の助言を受けながら取り組むことが重要です。

ヤガミホームヘルスセンターでは、福祉用具専門相談員がご家庭の状況を丁寧にお伺いし、とろみ調整食品や栄養補助食品、介護用品の選び方をサポートしています。
「どのとろみ調整食品が適しているか分からない」「食事量が減って栄養が心配」といったお悩みは、一人で抱え込まずにご相談ください。

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