「自分一人でお出かけしたいけど転ぶのが怖い」
「誰かが付いていないと買い物にも行けない」
と悩む人は少なくないのではないでしょうか？
適切な介護用杖を選ぶことで安定した歩行が可能となり、生活の質が向上し、安全な日常生活を送ることができます。
この記事では、身体の状態やライフスタイルに合った杖の選び方や、安全な使い方を詳しく解説します。
ご自身に合った杖が見つかれば、気分も晴れてお出かけが楽しみになりますので、ぜひ参考にしてください。
杖の種類と特徴
杖にはさまざまな種類と特徴があり、使用する方の身体の状態や利用シーンによって使いやすい杖は異なります。
杖の種類
- T字杖
- 多点杖
- ロフストランドクラッチ
- 松葉杖
※多点杖やロフストランドクラッチは、介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。(レンタルもしくは購入の選択が可能）
ここでは、ご自身にとって最適な杖選びのポイントと、安全な使い方について紹介します。
1.T字杖
T字杖は杖の中で最も一般的なタイプで、シンプルで扱いやすく、おしゃれなデザインやカラーも豊富で比較的安価なことから多くの人に使用されています。伸縮タイプや折りたたみタイプもあり、身体の状態や使用頻度に合わせた選択ができます。
自立歩行ができる方が初めて杖を購入する際には、T字杖がおすすめです。また、長時間の歩行に不安がある方や、歩行バランスを安定させたい方にも適しています。
T字杖の種類 |
特徴 |
|---|---|
固定タイプ |
|
伸縮タイプ |
|
折りたたみタイプ |
|
T字杖は自力でも歩ける人が補助的に使うタイプの杖になりますので、足腰に痛みがある方や筋力の低下が著しい方、自立歩行が困難な方には不向きです。
バンブーステッキ
握りやすさとフィット感にこだわりぬいた杖です。丈夫で軽いアルミ製で、杖から手をはなしても安心なストラップ付です。
2.多点杖
多点杖は3〜4点の先端部分が床に接する設計で、広い接地面積となるため、T字杖より安定性が高いのが特徴です。
T字杖では不安があるが、歩行器までは必要ない方や、足腰の筋力が低下してきたと感じる方、ふらつきや転倒の危険がある方に適しています。
ただ、多点杖はT字杖など一般的な杖よりもやや重いというデメリットもあります。
また、多点杖は地面に接する面積が広いため平らな場所ではより安定感が増しますが、階段や坂道などはバランスを崩す可能性があるため、多点杖のタイプによっては注意が必要です。
坂道や階段でも安定するタイプの多点杖として、支柱が前後に稼働するタイプや、杖先が分かれている部分が狭いタイプがあります。段差や傾斜があるところで使用する場合は、そういったタイプの多点杖がおすすめです。
アルミＭＩＸ四点可動式スモールタイプ 76MA
支柱が前後に可動するので坂道などでも接地しやすく、４点で路面をしっかり捉え安定します。身長に合わせて長さを11段階に調節できます。
オールアルミ４点杖
ベース部がアルミ製なので軽量です（560g）。
先端に４つの杖先ゴムが付いており、4点で地面を支えるので安定感抜群です。
3.ロフストランドクラッチ
ロフストランドクラッチとは、腕を支える「カフ」というサポート機能が付いているタイプのことで、ヨーロッパでは主流のリハビリ杖です。ロフストランドクラッチはカフに前腕を通し、肘カフと手のグリップとで体重を支えます。体重分散ができるので長時間の使用でも疲れにくく、握力が弱い方や手首に力が入りにくい方におすすめです。
オッセンベルグ社 オールニーズクラッチ Ｕ型
ドイツ・オッセンベルグ社製のロフストランドクラッチです。
グリップとカフの2点を使い、体重を支えながら安心して歩けるように工夫されています。
カフは着脱しやすいオープンタイプのU型です。
4.松葉杖
松葉杖は両脇で体を支える構造で、最も体重を分散できるため、安定した歩行が可能です。松葉杖は骨折した時に使うイメージがありますが、介護用品としても利用されています。
握力が弱くなっておらず、足腰に不安があったり変形性関節症で歩行に不安があったりする人におすすめです。
アルミ製松葉杖 合わせてパッチン
握りの高さをワンタッチで調整できます。握りが回転しないため、脇あて、握りともに汗で滑りにくいのが特徴。長さ調整も簡単なプッシュボタン式です。
2024年度介護保険制度改正で「杖」のレンタルまたは購入の選択が可能に
2024年4月度の介護保険制度改正により、一部の福祉用具について、レンタルか購入かを選べるようになりました。
これまで介護保険制度の認定を受けている方は、単点杖（※松葉杖を除く）および多点杖をレンタルする場合、福祉用具貸与サービスを利用できました。
今回の改正により、新たに特定福祉用具販売サービスでさまざまな杖を購入することも可能となり、利用者の選択肢が広がっています。
杖の選び方のポイント
杖を選ぶ時には、自分の体格や使用環境に適したものを選ぶことが大切です。種類だけでなく長さや重さ、グリップの形状など、さまざまな要素を考慮しましょう。
ここでは、自分に合った杖選びのポイント3つを詳しく解説します。
1.自分に合った杖の適切な長さを知る
杖の長さは安全で快適な歩行を支えるための基礎となる要素です。
杖の長さの目安として「身長÷2＋3cm＝杖の長さ（cm）」という計算式が用いられます。
また、杖をつく位置は体の横幅から約15cm外側を目安とし、肘は約30〜40度曲げます。
体格や歩き方は人によって異なるため、初めて杖を使う場合には、専門スタッフに相談すると安心です。
ご相談窓口
介護用品・医療用品のオンラインショップ ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」
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2.杖の軽さと丈夫さ
杖を使用しているときに疲れにくい軽さや、体を支えて安全に歩行するための丈夫さは、杖選びで欠かせないポイントです。素材によって特徴はさまざまで、それぞれ異なるメリットがあります。
アルミニウム製：軽さと耐久性のバランスが魅力
最も一般的な素材であるアルミニウム製は軽量で扱いやすく、錆びにくいという高い耐久性が特徴です。
外側にいろいろなデザインが施された杖が多く、好みの柄で選ぶことができます。
かるがもファムⅡ 伸縮
右手左手どちらの手にもなじむ握りやすく疲れにくいオリジナルグリップです。グリップが水に濡れたり、手袋をした手で握っても滑りにくい素材を使用しています。
カーボンファイバー製：軽さと強度を追求
カーボンファイバー製は軽量でありながら、高い強度を誇るのが特徴です。振動吸収性にも優れているため、長時間の歩行でも身体への負担が軽減されます。
3.グリップの形状と素材
杖選びで見落としがちなポイントとしてグリップの形状があります。
杖の持ち手であるグリップの形状や素材は、使い心地を大きく左右するため、選ぶポイントとして大切な要素です。
グリップの形状
ストレート型 |
|
エルゴノミクスグリップ |
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T字型グリップ |
|
また、グリップ部分の素材には、以下の種類があります。
ラバー |
|
アクリル樹脂 |
|
木製 |
|
素材によって見た目だけでなく握り心地が変わるため、自分に合ったものを選ぶことがおすすめです。
杖で安全に歩行するには？
杖を安全かつ効果的に使うためには、杖を使用するときの注意点を確認することが大切です。
まずは、杖の持ち手は痛みや障害のある足の反対側の手とし、両足ともに痛みのない場合は、持ちやすい方の手で持ちます。
支柱の中心に重心がかかるように握ってください。
グリップの一部分だけ握ると、荷重が偏ってしまい、不安定になり大変危険です。
歩行時は目線を上げることで自然と姿勢も良くなり、周囲に注意が向くようになります。
杖のつき方には、3動作歩行や2動作歩行という方法があります。
杖をつく位置は体の横幅から約15cm外側を目安としましょう。3動作歩行は初めて杖を使用される方でも、歩きやすい方法です。
また、安全な階段の上り下りを理解しておくことも大切です。
| 上り階段 | 健康な足を一段上げ、次に杖と痛みのある足を同時に一段上げる |
| 下り階段 | 杖を一段下の場所に置き、次に痛みのある足を一段下ろし、最後に健康な足を下ろす |
杖を正しい方法で使用することで、体の負担を軽減し、よりスムーズな歩行に近づけることができます。
杖を使う際の注意点とメンテナンス方法
杖を安全で快適に使用するためには、使用時の注意点とメンテナンス方法の理解が重要です。
長さ調節ネジの緩みはないか
伸縮式や折りたたみ式の杖は、可動部分に負担がかかり、長さ調節部分のネジが緩みやすくなります。
杖を使用していてカチカチといった異音がしたり、ぐらつく部分がある場合には、ネジが緩んでいる可能性があるので確認をしましょう。
杖の先のゴムはすり減っていないか
杖のゴムは滑り止めや杖をついた時に手に伝わる衝撃を緩和する役割がありますが、日々地面と接して摩耗することで、徐々に性能が低下してしまいます。
底定部の溝が減ると、車のタイヤの凹凸がなくなったときと同じように滑りやすく、転倒の原因となってしまいます。
メーカーでの交換推奨時期は半年から1年ですが、使用頻度などにより交換時期は異なるので、定期的な交換が大切です。
ヤガミホームヘルスセンターではさまざまな杖に対応できるよう、多彩な杖先ゴムをご用意しています。
杖先ゴム（サイズ19φ）
径19ｍｍの杖に適合する杖先ゴムです。
バンブーステッキ用杖先ゴム
安定感のある直径約5cmの杖先ゴムです。径16mmの杖に対応します。
定期的なメンテナンスのタイミングが難しい場合には、ご自身の誕生日月にゴム交換を行うなど、ある程度決めておくと安心でしょう。
自分に合った杖を選ぶならヤガミホームヘルスセンターへ
今回は、杖の種類と選び方、使用時の注意点についてご案内しました。
自分に合った杖は、外出や歩行の喜び、生活の幅を広げてくれる大切なパートナーです。適切な介護用の杖を選び、安定した歩行が可能になれば、楽しい日常を安全に送ることができます。
ヤガミホームヘルスセンターでは一人ひとりの状況や生活環境に合わせて杖が選べるよう、多彩なラインナップがそろっています。
さらに、「どの杖がいいか決めかねる…」そういった場合は、長年の経験を持つ専門スタッフが疑問や不安に対して、丁寧に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。
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