高齢者にとって「転倒」は、日常生活の中で特に起こりやすい事故の一つです。高齢者ご本人だけでなく、ご家族の方も「どうすれば予防できるのか」と心配されているのではないでしょうか。
この記事では、高齢者が転倒しやすい原因や場所、そして具体的な予防方法について、分かりやすく解説します。
高齢者の転倒がもたらす影響とは
厚生労働省の2022(令和4)年「国民生活基礎調査」によると、要介護の主な原因の第3位が「転倒・骨折」でした。
高齢者が転倒すると、骨折などの重傷を負うリスクが高く、若い世代と比べて回復に時間がかかります。さらに、転倒がきっかけで介護が必要になったり、寝たきりになる可能性もあります。
「転んだらどうしよう…」という不安から外出や運動を控えるようになると、結果として体力低下を招くという悪循環につながってしまいます。
そのため、高齢者ご本人だけでなく、ご家族や周囲の人も転倒の危険性を理解し、適切な予防策を取ることが大切です。
高齢者が転倒しやすくなる原因
高齢者が転倒しやすくなる主な要因は、次の3つです。
1. 加齢による身体機能の低下
年齢を重ねるにつれて、身体機能が低下し、転倒のリスクが高まります。具体的には、次のような変化があげられます。
- 筋力の低下(特に足の筋力が弱まると、つまずきやすくなる)
- バランス感覚の衰え(体のふらつきが増える)
- 反射神経の鈍化(とっさに手をつくなどの動作が遅れる)
- 関節の柔軟性低下(足が上がりにくくなり、段差につまずきやすくなる)
- 視覚や聴覚機能の低下(周囲の障害物や危険に気づきにくくなる)
なかでも下肢の筋力低下は、つまずきや転倒のリスクを大きく高めることが知られています。
2. 薬の副作用や健康状態の影響
高齢者の多くは、複数の持病を抱えていて、さまざまな薬を服用しています。これらの薬の副作用によって、転倒のリスクが高まることがあります。
例えば、以下のような薬には注意が必要です。
- 睡眠薬:眠気や注意力の低下
- 降圧剤(血圧を下げる薬):血圧低下によるめまいや立ちくらみ
- 抗不安薬:ふらつきやバランス感覚の低下
また、薬の影響だけでなく、糖尿病などの慢性的な病気も、足の感覚の鈍化や体調の変化を招き、転倒の要因になることがあります。
3. 運動不足
転倒への不安から外出を控えると運動不足になり、さらに転倒のリスクが高まります。
- 筋力低下により歩行時の安定性が損なわれる
- バランス感覚が低下し、体勢を崩しやすくなる
この悪循環を防ぐためには、ストレッチや軽い運動を日常的に行うことが効果的です。
高齢者が転倒しやすい場所
自宅内の転倒リスクが高い場所
内閣府の「平成30年版高齢社会白書」によると、高齢者の家庭内事故の約45%が居室で発生しています。住み慣れた場所でも、わずかな段差や床に置かれた物につまずくなど、転倒する危険性があります。
特に注意が必要なのは次の場所です。
1. 居間・リビング |
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2. 玄関 |
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3. 廊下・階段 |
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4. 寝室・ベッド |
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5. 浴室・トイレ |
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外出時の転倒リスクが高い場所
買い物や散歩など外出時は、周囲の状況や天候によって路面の状況が変わり、転倒のリスクが高まります。
特に注意が必要なのは次の場所です。
1. 道路 |
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2. 店舗・駐車場 |
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高齢者の転倒を予防する3つの方法
予防1:住環境の改善
転倒しにくい環境を整えることで、事故を未然に防げます。
大掛かりな住宅リフォームでなく、介護保険で要介護認定(要支援認定も含む)を受けている場合は、介護保険サービスを利用して住環境を改善することができます。
場所ごとに具体的な対策方法と、ヤガミホームヘルスセンターで取り扱っている商品をご紹介します。
1.居間・リビング
- コードの配線は動線を避けて、壁際にまとめる
- 引っ掛かりやすいカーペットやこたつ布団は使用しない
- めくれやすいカーペットの下には滑り止めを敷く
- 床に物を置かない
- 1~2cmの小さな段差にはスロープもしくは手すりをつける

※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
介護保険福祉用具貸与(レンタル)
2.玄関
- 手すりをつける(介護保険の住宅改修で対応可能)
- 上がりかまちが高い場合にはステップ台を置く
- 玄関マットの下に滑り止めを敷く
- 靴の着脱のために椅子を置く

※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
介護保険住宅改修工事

※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
介護保険住宅改修工事

※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
(自治体によっては介護保険貸与(レンタル)対象外)
介護保険福祉用具貸与(レンタル)
3.廊下・階段
- 両側に手すりをつける
- 床に物を置かない
- 転倒の原因になる滑りやすい靴下やスリッパは使用しない
- 足元がよく見えるように照明を明るくする
- 階段に滑り止めをつける

※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
介護保険福祉用具貸与(レンタル)
4.寝室・ベッド
- ベッドの片面を壁に接するように設置し、片方からの転落リスクをなくす
- ベッドサイドレール(ベッドに取り付ける柵)を利用する
(ベッドサイドレールを使用する際には、柵やベッドとのすき間に首や体の一部が挟まらないように注意してください) - 万が一、転落しても衝撃が緩和できるよう低床のベッドに変更する
※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
介護保険福祉用具貸与(レンタル)(特殊寝台電動ベッド低床タイプ、サイドレール)
5.浴室・洗面所
- 椅子に座って着替える
- 浴室の入口の段差が高い場合は、すのこで段差を小さくする
- 浴槽が埋め込まれて深い場合は、浴槽台やすのこで洗い場と高さを合わせる
- 手すりをつける
- 滑りにくい床材に変更するか、滑り止めマットを敷く
(※滑り止めマットは介護保険の補助制度の対象ではありません)

※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
介護保険住宅改修工事

※介護認定を受けている方は補助制度を利用することが可能です。
介護保険特定福祉用具購入


※介護保険の補助制度の対象ではありません。
八神製作所 福祉用具レンタル 販売電子カタログ2024-2025
予防2:転倒予防の運動をする
転倒を予防するには、筋力を維持・強化する体操やバランストレーニングが効果的です。医療機関や市区町村が転倒予防教室を行っている地域もありますので、参加するのも良いでしょう。
1.バランストレーニング
- 片足立ち(支えがある場所で実施)
- ゆっくりとした歩行練習
- タオル体操

2.下肢の筋力を強化
- スクワット(支えがある場所で実施)
- かかと上げ運動
- 椅子からの立ち座り
- 階段の昇降

運動は支えのある場所で安全に行い、自分の体力や状態に合わせて無理のない範囲で習慣的に行うのが効果的です。運動におすすめの商品を紹介します。
運動におすすめの商品を紹介します。
セラバンド 5.4m巻
介護予防やリハビリ時のエクササイズに!
場所を選ばず、手軽に自宅や移動先でトレーニングできます。体力に応じた抵抗レベルをお選びいただけます。全8色。


カラー重錘(じゅうすい)バンド
重量が細かく分かれているので、体力向上に合わせて使い分けられ効果的です。

予防3:生活習慣の見直し
日頃の生活習慣を見直すことも重要です。
健康状態や服用している薬、日々の行動などを把握しておくことで、転倒のリスクを減らすことができます。
1.服薬管理
高齢者は持病のために複数の薬を服用していることが多く、薬の副作用が出る場合もあるため、服薬の履歴をつけ、定期的に医師や薬剤師に相談することが大切です。
また、薬の飲み忘れを防ぐために、カレンダー形式で曜日ごとに分かりやすく薬を分類できる「お薬カレンダー」や薬の整理ボックスが便利です。
お薬カレンダー 壁掛けタイプ
1週間分のポケットに分けて薬が管理できます。3サイズあるので、服薬の状況に合わせてお選びいただけます。

テイコブ Myカルテ くすり整理ボックス
1日3回、1週間分のお薬を整理できます。小さなお薬もサッと取り出せます。

2.定期的な健康チェック
高齢になると体力や筋力が低下しやすいため、定期的な健康チェックが大切です。
現在の体調や病状をしっかりと把握し、変化に気づくことや、必要に応じて医療機関を受診するなど、早めに対応しましょう。
健康管理を習慣にすることで、転倒のリスクを減らし、安全に過ごすことができます。
転倒予防のための商品はヤガミホームヘルスセンターへ
高齢者の転倒は大ケガにつながりやすく、入院や寝たきり状態になってしまう危険性があります。
高齢者ご本人はもちろん、ご家族や周囲の方のサポートを受けながら転倒予防に取り組むことで、転倒のリスクを大きく減らすことができるでしょう。
ヤガミホームヘルスセンターでは、転倒予防に効果的な福祉用具を幅広く取りそろえています。
経験豊富なスタッフが、個々の状況に応じた最適な福祉用具をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。詳しい情報や相談をご希望の方は、ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」までお問い合わせください。
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