久しぶりに会った親の様子が、以前と少し違う気がする。そう感じても「年のせいかな」と見過ごしてしまう方は少なくありません。しかし、お盆の帰省は、離れて暮らす親の変化に気づける貴重な機会です。「久しぶりに会う目線」だからこそ察知できることもあります。
この記事では、帰省時に確認したい親の変化のポイントと、気になったときの声のかけ方・相談先の選び方、介護保険の申請の流れをご紹介します。
帰省で親の変化に気づきやすい理由

帰省は、離れて暮らす親の変化に気づく機会の一つです。普段は会う機会が少ないからこそ、数カ月ぶりに顔を合わせると、歩く速さや会話の様子、家の中の状態などに以前との違いを感じることがあります。
ただ、本人が困りごとを抱えていても、家族に心配をかけたくないと考え、自分から話さないことも少なくありません。家族側も「まだ元気そうだから」と遠慮し、詳しく確認しないまま帰省を終えてしまう場合があります。
こうしたすれ違いは、離れて暮らす親を持つ家族に広く見られます。ALSOKが70歳以上の親と別居する30~50代の男女600人を対象に行った調査では、55.5%が親に「不安がある」と回答しました。不安を感じたきっかけとして最も多かったのは「親の体力の低下を感じた」で、67.0%を占めました。日常的に離れて暮らしているからこそ、帰省などで親と顔を合わせたときに、体力や生活の様子の変化に気づきやすいといえます。
参考:ALSOK「別居している高齢の親を持つ子どもの意識調査」
帰省時に確認したい親の変化チェックリスト

帰省した際は、本人に体調や生活状況を尋ねるだけでなく、普段の動作や住まいの様子もあわせて観察してみてください。身体面と認知面、さらに生活環境という視点で分けて確認すると、以前との違いを整理しやすく、必要なサポートも検討しやすくなります。
ここで紹介する項目は、介護の必要性や病気を判定する基準ではありません。気になる変化を相談につなげる目安として確認してください。
身体面の変化(動作・食事・清潔感)
身体面では、「以前は無理なく行えていた動作」に変化がないかを確認します。本人の言葉だけで判断せず、立ち上がる様子や歩く速さ、食事中の様子など、帰省中のふとした場面で気づく変化にも目を向けます。
- 段差でつまずくことが増えた
- 椅子からの立ち上がりに時間がかかる
- 歩く速さが以前より遅くなった
- 食事量が以前より減った
- 食べるのに時間がかかるようになった
- 入浴や着替えを負担そうにしている
たとえば、以前は支えなしで立ち上がれていたのに、椅子や家具に手をつくようになった場合は、体力や筋力の低下などが考えられます。また、食事量の減少は体調不良や持病の影響だけでなく、気力の低下や孤独感などが関係している場合があります。
こうした変化にはさまざまな要因が関係するため、原因を決めつけるのではなく、以前との違いを確認してください。
認知面・生活環境の変化(もの忘れ・金銭管理・住まいの状態)
認知面では、単に「忘れっぽくなったか」ではなく、記憶力や判断力、物事を順序立てて進める力に変化が生じ、そのことが日常生活に影響していないかを確認します。
- 同じことを何度も言ったり聞いたりする
- 数分前や数時間前の出来事をすぐ忘れる
- 約束を忘れる
- 同じものを何度も購入する
- 手続きやお金の出し入れが難しくなる
- 家事や趣味の段取りが悪くなり、時間がかかる
- 以前楽しんでいた趣味に興味を示さなくなる
国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、認知症のサインの例として、同じことを何度も言ったり聞いたりする、同じものを何個も買う、約束を忘れるなどを挙げています。
ただし、認知機能の低下だけでなく、体調不良や気力の低下など複数の要因が関係する場合があります。一つの変化だけで認知症と判断せず、以前と比べて何が変わったのか、どの程度の頻度で起きているのかを確認することが大切です。気になる状態が続く場合は、かかりつけ医などへ相談してください。
参考:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター|こころの情報サイト
親の変化に気づいたときの声のかけ方と家族の話し合い

親の気になる変化に気づいたときは、本人の気持ちに配慮しながら、何に困っているのか、生活の中でどのような変化が起きているのかを確認します。状況に応じて家族で情報を共有し、必要であれば地域包括支援センターやかかりつけ医などへの相談を検討します。
親に気になる変化を伝える話し方
本人に話を聞くときは、いきなり介護や認知症の話を持ち出さず、普段の会話から自然に入る方法があります。「最近どう?」と漠然と尋ねるより、「買い物は大変ではない?」「病院には最近いつ行った?」など、具体的な生活場面について聞くほうが状況を把握しやすくなります。
気になる変化を伝える際は、「前よりできなくなった」と本人を否定するような言い方を避け、「大切だから少し気になっている」と、相手への心配を素直に伝えるようにすると、本人も話しやすくなります。
本人が話し始めたら、すぐに結論や解決策を示そうとせず、まずは困りごとや思いに耳を傾けます。本人の価値観や考え方を尊重し、話すペースに合わせながら、何に困っているのかを焦らず一緒に把握していくことが大切です。
家族で考える役割分担と情報共有
兄弟姉妹などが集まる帰省は、親の様子を共有し、今後の連絡方法や役割を整理する機会にもなります。誰か一人を「介護担当」に決めるのではなく、住んでいる場所や仕事、家庭の状況を踏まえ、それぞれが担える範囲を事前に話し合っておくことで、いざというときにも動きやすくなります。
たとえば、近くに住む家族は日常の変化を確認し、遠方の家族は定期的な連絡や各種書類・手続きの管理を担うなど、それぞれの状況に応じて役割を分担できます。受診の付き添い、親への連絡、市区町村への問い合わせなど、具体的な項目ごとに書き出しておくと、誰が何を担当するのかも見えやすくなります。
話し合った内容は家族間で共有し、本人の意向や生活状況が変わったときに見直すようにしてください。最初から細かな分担を決めるのではなく、「誰が、どの範囲までなら担えるか」を確認しながら調整していくことが、無理の少ない支援につながります。
親の変化が気になったときの相談先と選び方

親の変化が介護のサインか判断できない段階でも、相談できる窓口があります。困りごとの内容に応じて相談先を選ぶと、現在の状況や次に確認すべきことを整理しやすくなります。
主な相談先は、以下のとおりです。
- 生活・介護全般の不安や疑問:地域包括支援センター
- 介護保険の制度や申請:市区町村窓口
- もの忘れや体調の変化:かかりつけ医
どこへ相談すべきか迷う場合は、まず地域包括支援センターへ問い合わせる方法があります。介護保険の手続きについて確認したいときは市区町村窓口、もの忘れや体調面が気になるときはかかりつけ医など、相談内容に応じて使い分けてみてください。
地域包括支援センター(まず相談したい窓口)
地域包括支援センターは、高齢者の生活や介護に関する不安・疑問を幅広く相談できる窓口です。保健・医療・介護・福祉の面から支える機関で、市区町村または市区町村から委託を受けた法人などが運営しています。
センターでは、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が連携し、本人の生活や家族の介護に関するさまざまな相談に対応しています。「介護が必要かわからない」「まだ要介護認定を受けていない」といった段階でも相談の対象です。
担当するセンターは、原則として親が住んでいる地域によって決まります。市区町村のホームページで「地域包括支援センター」と検索し、所在地や電話番号、受付時間を確認すると探しやすくなります。
市区町村窓口
市区町村の介護保険担当窓口は、要介護・要支援認定の申請先です。「介護保険課」「高齢者福祉課」など部署名は自治体によって異なるため、親の住所地を管轄する市区町村のホームページや代表窓口で確認しておくと安心です。
窓口では、申請方法や必要書類、認定までの流れなどについて案内を受けられます。本人だけで手続きを進めることが難しい場合は、家族が申請を支援するほか、地域包括支援センターなどに申請手続きを依頼する方法もあります。
申請方法や必要書類の扱いには自治体ごとの差があるため、事前の確認が欠かせません。「誰が申請するのか」「何を用意するのか」を整理しておくと、その後の手続きも進めやすくなります。
かかりつけ医への相談
もの忘れや会話、行動の変化が気になる場合は、かかりつけ医への相談も選択肢に入ります。普段の健康状態や服薬状況を把握している医師であれば、本人の状態を確認したうえで、必要に応じて認知症を専門に診る医療機関などを案内することがあります。
受診時は「最近様子が違う」とだけ伝えるのではなく、「同じ質問を繰り返すようになった」「約束を忘れることが増えた」など、具体的な変化を伝えてください。いつ頃から始まり、どの程度の頻度で起きているのかなどをメモしておくと、状況を説明しやすくなります。
急な混乱や意識の変化など、普段と明らかに異なる状態が見られる場合は、介護の問題と決めつけず、早めに医療機関へ相談してください。
介護保険の申請からサービス開始までの流れと内容

介護保険サービスの利用を希望する場合は、要介護・要支援認定の申請から始まります。
介護保険申請からサービス利用開始までの一般的な流れは、以下のとおりです。
- 市区町村へ申請
- 認定調査・主治医意見書
- 審査・判定と結果通知
- ケアプランの作成
- サービス利用開始
申請の内容
申請先は、本人が住む市区町村の介護保険担当窓口です。本人や家族による手続きが難しい場合は、地域包括支援センターなどに申請を依頼できることもあります。
申請後は、市区町村の職員などが本人の心身の状態や日常生活の様子を確認する認定調査を行います。あわせて、市区町村から主治医へ意見書の作成を依頼し、調査結果や主治医意見書などをもとに審査・判定へ進むのが一般的です。
認定結果の通知は、原則として申請から30日以内です。認定後は、要介護・要支援の区分に応じてケアプランを作成し、本人の状態や希望を踏まえながら利用するサービスを検討します。
サービスの内容
在宅で利用できる介護保険サービスには、訪問介護、通所介護(デイサービス)、訪問看護、福祉用具貸与などがあります。どのサービスを組み合わせるかは、本人の状態や暮らし方を踏まえ、ケアプランに沿って検討する形です。
たとえば訪問介護では、食事・排泄・入浴などを支える身体介護のほか、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助が提供されます。一方、家族のための家事など、介護保険の対象にならない内容もあるため、利用前の確認が欠かせません。
利用できるサービスの種類や回数は、認定区分、本人の状態、ケアプランなどによって異なります。具体的な内容は、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーなどと相談しながら確認してください。
介護に関するご相談はヤガミホームヘルスセンターへ
親の変化に気づいたときは、公的な相談窓口を活用すると、本人や家族に必要な支援を整理しやすくなります。介護用品や福祉用具について迷ったときは、ヤガミホームヘルスセンターへご相談ください。
ヤガミホームヘルスセンターでは、窓口での来所相談に加え、オンライン相談も受け付けています。オンライン相談はインターネットでの完全予約制で、自宅から利用できます。インターネット環境と、カメラ・マイクを備えたスマートフォンまたはパソコンがあれば、専用アプリのダウンロードは不要です。
介護を考え始めたものの、用品や福祉用具について何を確認すればよいか迷っている方も、相談窓口の利用をご検討ください。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的アドバイスではありません。
※体調や生活状況には個人差があります。急な体調変化がある場合や認知機能の変化が気になる場合は、医療機関へご相談ください。
※介護保険制度や相談窓口の運用は自治体によって異なる場合があります。最新情報はお住まいの市区町村へご確認ください。
ご相談窓口
介護用品・医療用品のオンラインショップ ヤガミホームヘルスセンター「e.よりそうだん」
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